ニュースについて深堀りインタビュー
青木白石さん、トヨタが水素エンジンとハイブリッド技術を組み合わせた新型車両を公開したというニュース、興味深いですね。航続距離が25％も伸び、250kmに達するというのは、実用化に向けて大きな一歩と言えるのではないでしょうか。
白石ええ、全く同感です。特に注目すべきは、トヨタが「マルチパスウェイ」戦略を堅持している点ですね。電気自動車（EV）一辺倒ではない、多様な選択肢を追求する姿勢は評価できます。
青木確かに、EVシフトが叫ばれる中、水素エンジンという選択肢を捨てないのはトヨタらしいですね。ただ、今回のハイブリッド化は、水素エンジンの課題を克服するための現実的なアプローチだと感じます。航続距離の問題は、水素エンジン普及の大きな障壁でしたから。
白石その通りですね。水素エンジンは、燃焼時に二酸化炭素を排出しないという大きなメリットがある一方、航続距離の短さがネックでした。今回のハイブリッド化によって、その弱点を克服し、実用性を高めたと言えるでしょう。
青木しかし、助手席部分にハイブリッドシステムのバッテリーなどが配置されているというのは、気になりますね。中嶋副社長も「車の価値がない」と述べているように、実用化に向けては小型化が必須でしょう。
白石ええ、そこは大きな課題ですね。ただ、トヨタは技術力でそれを克服してくるでしょう。むしろ、私が注目したいのは、オーストラリアでの実証実験で「アクセプタブル（容認できる）」という評価を得ている点です。
青木なるほど。それは確かに重要なポイントですね。ユーザーが「容認できる」レベルに達しているということは、実用化へのハードルがかなり下がったと言えるのではないでしょうか。
白石ええ。たとえ航続距離がEVに劣っていたとしても、水素充填時間の短さなど、水素エンジンならではのメリットを評価するユーザーは確実に存在するはずです。特に、商用車のような用途では、時間効率が重視されますから。
青木そうですね。今回のハイエースは商用車ですが、今後、乗用車への展開も期待できますね。水素エンジンならではの力強い走りやエンジン音は、車好きの心を掴むかもしれません。
白石同感です。EVとは異なるドライビングプレジャーを提供できるのは、水素エンジンの大きな魅力ですね。トヨタは、そうした感性的な部分も含めて、水素エンジンの可能性を追求しているのではないでしょうか。
青木トヨタは、水素エンジン車をレースにも投入していますね。モータースポーツという極限の環境で技術を磨き、その成果を市販車にフィードバックするという姿勢は、トヨタのモノづくりに対する真摯さを感じさせます。
白石まさに、トヨタの真骨頂ですね。レースで得られた知見は、水素エンジンの燃焼効率の向上や耐久性の向上などに役立っているはずです。そうした地道な努力が、今回の航続距離25％向上という成果に繋がっているのでしょう。
青木ただ、水素インフラの整備は、依然として大きな課題ですね。水素ステーションの数は、ガソリンスタンドやEV充電スタンドと比べて圧倒的に少ない。インフラ整備が進まなければ、水素エンジン車の普及は難しいでしょう。
青木政府や企業の取り組みが、水素インフラ整備の加速に繋がることを期待したいですね。インフラさえ整えば、水素エンジン車は一気に普及する可能性を秘めていると思います。
青木そう考えると、トヨタのマルチパスウェイ戦略は、単なるリスク分散ではなく、未来を見据えた戦略だと評価できますね。EVだけでなく、水素エンジンという選択肢も残すことで、持続可能な社会の実現に貢献しようとしているのでしょう。
白石ええ。トヨタは、ハイブリッド技術で培った電動化技術を、水素エンジン車にも応用しています。こうした技術の水平展開は、トヨタの強みですね。他のメーカーには真似できない、トヨタならではのアプローチだと思います。
白石どちらが主流になるかを決めるのは、市場だと思います。それぞれの技術には、メリットとデメリットがあります。ユーザーがどちらを選択するかは、その時々の社会情勢や技術革新によって変わってくるでしょう。
青木なるほど。確かに、現時点ではどちらが主流になると断言することはできませんね。ただ、トヨタがどちらの技術も追求していることは、ユーザーにとって大きなメリットがあると言えます。選択肢が多いことは、ユーザーにとって歓迎すべきことです。
白石ええ、今後のトヨタの動向から目が離せません。水素エンジン車の進化だけでなく、水素インフラの整備状況も含めて、注視していきたいと思います。
青木同感です。今回のニュースをきっかけに、水素社会実現に向けた議論がさらに活発になることを期待したいですね。
白石ええ、私もそう思います。水素エンジンという選択肢が、持続可能な社会の実現にどのように貢献していくのか、今後も議論を深めていく必要があるでしょう。
白石こちらこそ、青木さんと活発な意見交換ができ、大変刺激になりました。ありがとうございました。
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